そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
それからは、あえて恋愛ネタはさけて、共通の知り合いの話や世間話をしながら、食事を終え、私のアパートの前まで送ってもらった。


「ここですか?」


アパートのお客様用の駐車場に車を止めた九条慎吾にうなずいてから、よそゆきの笑顔を向ける。


「はい、ありがとうございました。
今日はすごく楽しかったです。
また、誘ってもらえますか?」

「はい、もちろんです、けど、......。
あの、どう思えばいいんですか?
それは友達として?それとも、それ以上の関係を望んでもいいんですか?」

「慎吾さんが望んでくださるなら」


自らそう仕向けたとはいえ、九条慎吾の方から切り出してきたのは、ちょっと意外ね。

意外ではあったけど、まさに望んでいた展開。  


「実は慎吾さん(のお金)のこと、前から気になってたんです。今日お話して、ますます素敵な方だなって思いました」
  
 
ふんわりほほえみながらも、ほんのすこし恥じらうように一瞬だけうつむく。
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