こんな男に誰がした!
俺の優しさ


さやかさんの件は、いつも頭の片隅にあり、気になっていた。


しかし、弥生といる時間にはほとんど思い出さない。


ふと、時間の空いた時に、どうしているだろうと思わずにはいられないのだ。


常に仕事に前向きで、力強かった彼女が、弱っていて俺を頼ろうとしてくれたのに、力になれなかった自分が、情けなく思えてくる。


片桐さんの言うことは、もっともだとは思うが、人の気持ちって、計算通りにはいかないものだ。


俺は、自分の立場と今の現状、そして思うようにならない感情をもてあましていた。


割りきれずにいる自分、非情になれない自分。


俺って、こんな男だったのだろうか?


自分の事なのに、解らなくなっていた。


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