聖夜の光




切欠は、章吾さんと付き合い始めた頃、姉が思い付いた悪戯だった。



"ねえ、小夜子。私のフリをして、章吾とデートしてみない?"



姉と私の容貌は瓜二つ。
彼氏が、姉と私を見分ける事が出来るかどうか、愛を試したいらしい。

そんなの彼氏に失礼だよ、と私は断ろうとしたけれど、結局姉に押し切られた。

流石に一日デートは無理、という押し問答のすえ、借りた本を返すという口実のもと、会社帰りにお茶だけ、という事で話がまとまった訳で。


私は陽奈子の彼氏である章吾さんに、陽奈子のフリをして会う事になった。

その時はまだ、姉の悪戯心にのっかって、私も面白半分だったのだ。



< 3 / 9 >

この作品をシェア

pagetop