聖夜の光



沢山言いたい事があって、でも何から言っていいか分からないから。

私は踵を浮かせて伸び上がり、面差しを上向かせて。


長身の彼へとキスをした。


驚いたらしい彼は一瞬眸を瞠らせたけれど。
それが答えだと悟ってくれたのか、直ぐに唇を優しく啄んで返してくれる。

互いの吐息が絡まるほど間近い距離で、私達は笑い合う。

封じ込めようとしていた恋心が、胸の中で一気に花を開かせ、息苦しいほどだ。

やっぱり言葉なんか出ないけれど、でもどうしても一つ、訊かなくちゃ。



「章吾さんじゃない貴方の、名前を教えて」

「……、圭吾(けいご)。藤井、圭吾」



まだ重なる私の唇の上で、彼がその名を綴ってくれた。

胸に沁み込むその名前が、最初の一歩。

私の密かな恋心に、光が射した瞬間だと思えた。

章吾さんと陽奈子の悪戯に、して遣られた私達だけれど。

後で言う文句は、圭吾さんと一緒に考える事にするとして。
私のスマホに姉から"Merry Christmas!"なんてメッセージがちゃっかり入ってるのも、後から見る事にするとして。

広い部屋の片隅に、恐らくホテルの心尽くしで飾られたクリスマスツリーが灯っている。

その天辺にはやっぱりお星さまが飾られていて。
抱き合う私達を、優しく照らしてくれるのだった。


【end】
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