もう一度出会えたら
「…おはよう。大丈夫?そんなに急がなくても良かったのに」


彼の背中をさすりながらそう声をかけた。


呼吸が落ち着いたのか、膝から手を離しまっすぐ立つと


『朝比奈も今日はいつもより早いじゃん。しかも機嫌まで良さそうだし、何かいい事でもあった?』


そう聞く大翔の目が少しだけ不安そうに見えたのは多分気のせいだろう…とあまり深くは考えなかった。


「うん、そうなの」


『え…?まじで!?なに男が出来たとか…?』


大翔ってばすぐに男と結びつけたがるんだから…


「違うって…。ただ久しぶりにこの週末に帰省してきただけなんだけどね。思ってた以上にリフレッシュ出来たみたい」


『へぇー、朝比奈の実家って東京じゃなかったんだ?』


「私は生まれも育ちも中学までは東京だけど、あとは大学で上京するまで大阪だよ。両親は、もともと関西の人だから」


『初めて聞いたな。朝比奈って関西弁じゃないからイメージ全くないよな』


「よく言われるけどね」


そんな話をしていたら更衣室のある5階に着いた。
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