もう一度出会えたら
自分から大翔に抱きついてしまった態勢に慌てて謝り離れようとしたのに、彼は私を離すどころか逆に抱きしめる腕に力を入れた…。


今度は“何でどうして?”と小さなパニックを起こす。


「ちょ…大翔どうしたの」


『ご、ごめん。』


慌ててそう言うと私を腕から解放した大翔と正面から向き合った。


『本当にごめん……急にビックリさせたよな』


「私こそ、ごめん…助けてもらってありがとう」


私の顔を見れないのか足元を見つめたままそう言った大翔が顔を上げた。


そして何か覚悟を決めたように私の目をそらさずにまっすぐに見ると


『 朝比奈!今ので気づかれたかもしれないけど……』


もしかして…….まさかと思った。


私もそんなに鈍い方ではないと思ってる。


自分に好意を寄せられていたら相手の態度で気付くこともあったし。


だけど、大翔の場合はこの3年全く気づかなかった。


確かに彼はいつも優しかったけどそれは他の人に対しても同じで、私に対する特別な感情なんて感じた事なかったのに。


だけど、ここ数日の大翔との会話で何度か感じた違和感を思い出した。
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