もう一度出会えたら

外の景色が見慣れた景色に変わる。もうすぐ家のすぐ近くだ。


「あの信号の手前で大丈夫です」


運転手さんにそう告げると信号手前の道路脇に車を停車させた。


大翔にお礼を言ってタクシーから降り後ろを振り返ると大翔が運転手さんに


『少しだけここで待っててもらえますか』


と言って一緒に降りてきた。え？って言う顔をしているはずの私の顔を見ると


『家の前まで送るから』


って…え？そんなの悪い。だけどいいって言っても聞いてくれなくて結局タクシーを降りてからアパートまでの30Mほどの距離を送ってもらう事になった。


タクシーを待たせてるから早く歩かなきゃって思うのに、歩き出した私の足は意思に反しておぼつかない足取りで、そんなに飲んだつもりはなかったのに酔いが回ってしまったのか少しだけ足にきていた。


どうにかアパートの前まで歩きお礼を言おうと後ろを振り返ると、足が絡まり前に倒れそうになった。


『危なっ！』 「きゃっ……」


こけるっ！そう思い受け身を取ろうと両手を前に出したのに、助けてくれようとした大翔に腕を取られそのまま彼の胸に飛び込んでいた。