もう一度出会えたら
3年も思ってくれていたなんて…戸惑いもあるけどそれだけ自分の事を想ってくれる人がいるという事実はやっぱり嬉しかった。


大翔だって今までの関係を崩す覚悟をして気持ちを伝えてくれたんだから、私ももう一度自分の気持ちに逃げずに向き合わなければいけないのかもしれない。


彼が日本を発ってから3週間…残り1週間だと思っていたのに、まさかもう彼が日本に帰って来ていたなんてこの時はまだ知る由もなかった。


今日はまだ週の中間の水曜日。


うちの会社は水曜がノー残業デーになっている為、今夜は沙羅からお誘いがあった。


会社のロビーを抜けて外に出ようとした所で後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。


足を止め後ろを振り返ると大翔だった。


「お疲れ…大翔も今帰り?」


2人並んでそのまま外に出て歩き出す。


7月も後半に入り連日の猛暑続きで夕方になった今も湿度の高い都会独特の蒸し暑さが全身を包み込む。


息苦しさまで感じるほど…


『うん。朝比奈はこの後何か予定あるの?』
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