もう一度出会えたら
思わずビクンとなった私の体…そして耳に直接彼の声が届く。


『菜々さんに会えなくて辛かったです…』


そして彼の手にますます力がこもる。


彼も私に会えなくて辛かった…本当に?


『今回頑張って早く帰ってきたんです。菜々さんに会いたくてここまで来たけど、だけど…あの日は結局あなたに会う勇気がなくて会わずに帰りました。』


「いつ?会う勇気って…何?」


『先週末の夜、帰国してからここに来たんです。だけど、その時ちょうど菜々さんが男の人と一緒に帰って来て……そして抱き合っていました。』


聞いた瞬間、あの夜の事が頭に浮かんできた……。


「違うから!彼は、彼とは…そんなんじゃなくて…………」


その先の言葉につまってしまうと彼が私の体の向きを変え彼と正面から向き合うと、彼がその続きを言葉にした。


『あの時、あの彼に告白でもされてましたか?』


少しだけ冷たく響いたその言葉に思わず彼の目を見上げると


『やっぱり…』
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