もう一度出会えたら
これは夢……。


なのに、リアルに感じた人肌の温もりと濡れた頬の感触に違和感を覚えた。


意識が少しずつ覚醒していくと同時にジワジワと膨れ上がっていくのは恐怖心。


一瞬で身体から血の気が引いていくような感覚と、ズキンズキンとこめかみに響く鈍い痛みに顔を歪めた。


起きた瞬間から私を襲うこの不快な痛みが、嫌という程、これが現実だと私に教えてくれる。


先ほどまでとは違う意味で夢であって欲しいと思ったけれど、もう一度、夢の世界に戻ることは出来なかった。


背中につけていた頬をそっと離して覚悟を決めると、恐る恐る目を開いた。
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