君は私の人生の、輝く太陽。




「ここ・・・」






目の前に広がる私たちの住んでいる街。






おばあちゃんの家の方も見える。






「・・・ぇ、ちょ、直斗!?」






私の頭に乗せられた手。






直斗はその手で私の頭をワシャワシャと撫でながら笑った。






「・・・やめてよ、髪崩れるー!」






自然と私の顔にも笑顔が浮かぶ。






私の顔を見て、直斗は手を止めた。






「遥香は笑ってた方がいい。」





「え・・・?」





私の動きも止まった。





笑ってた方がいい?





なに、それ。





そんなの反則・・・。





なんでそんなに優しく笑うの。





胸が高鳴る。





「・・・泣いてもいいから。」





「・・・っ」






そんなこと言われたらさ、また涙出てきちゃうじゃん。





なんで急に優しくなるの。





涙は私の頬を伝って、地面に落ちて。





地面には丸い模様が出来ていく。





「・・・泣いてもいいから、その後は笑えよ?」






「・・・っ私は、私として、生きたかったっ」






どうしてだろう。






直斗といると本音がポロポロと出てくる。





涙と一緒にこぼれて落ちていく。






「遥香として、好きだって、伝えたかったっ」







直斗はなにも言わずに私の背中をさすってくれる。






そんな直斗の優しさが胸にしみる。






なんで私が泣きたい時は直斗が隣にいるの?






直斗がいてくれて良かった。






「・・・もう大丈夫か?」





「・・・うん。」





私は直斗に笑顔を見せた。






気づけば辺はもう暗くなっていて。






直斗は駅まで送ってくれた。





駅で改札を通る直前。






私は振り返った。







「・・・直斗、ありがとう!」






それだけ言って、改札を通った。





私の気持ちを、遥香として先輩に伝えることはもう出来ない。





私の先輩に対する気持ちは、望みのない恋で。





恋ってきっとチョコレートなんだ。





ミルクチョコのような甘い恋。





でも甘いだけじゃない。





時にはビターチョコみたいに苦い時もある。





私の場合はビターチョコが多かっただけ。





でもビターチョコだけじゃない。





涼香がいた頃の私の片想いはミルクチョコばかりだった。





委員会がとても楽しみで、廊下ですれ違うだけで1日幸せになれた。






だから今ビターチョコが多いのは当然のこと。





2つの味のチョコレートが入った袋からミルクチョコだけを食べてしまったら、残りはビターチョコだけになる。






それと同じことなんだ。






望みのない恋だったけれど、辛かっただけじゃない。





辛かった分、苦しかった分、楽しかったことも嬉しかったこともある。





きっとこれは運命で。





最初から望みのない恋だったんだ。






~黄色のチューリップ「望みのない恋」~



< 38 / 101 >

この作品をシェア

pagetop