君は私の人生の、輝く太陽。




「今日から、ここにまた住んでもいい?」





「もちろん!」





正直、不安だった。





もしかしたら、ダメって言われるんじゃないかって。





でもそんな不安、要らなかった。





だって、お母さん達はこんなに私を愛してくれている。





"私"が愛されているのかは分からないけれど、少なくとも、今の私は愛されている。





それならば、私が"私"を捨てればいい。





私が"私"であることを、誰も望んでいないんだ。





「ありがとう!・・・じゃあお風呂入ってくるねー!」





私はすぐに涼香の部屋に行った。





そこはなにも変わっていなくって。





でもやっぱり、自分の部屋じゃないから落ち着かない。





タンスから着替えを取り出して、ドアを開けた。






思わず隣の────''私"の部屋を見た。





涼香と部屋を交換した時みたいで。





もしかしたら、涼香が"私"の部屋から出てくるんじゃないかって思ってしまう。





そんなことありえないのに。





頭の中がぐちゃぐちゃになって。





よくわからなくなっていく。





それでもハッキリとしているのは、私は生きているけれど、"私"は死んだということだ。






つまり、"私"は要らない。





自分で考えてるのに、涙が出てくる。





私は考えを振り落とすように、頭を左右に振った。





そして階段を降りてお風呂に向かう。





シャワーは私についた汚れを落としてくれる。





それなのに、どうして私の心についた黒いものを落としてくれないの?





黒く、濁ったものも、水と一緒に流れていけばいいのに。





私の目からこぼれた涙は、シャワーの水に紛れて分からなくなる。





この涙のように、私もなにかに紛れて消えられればいいのに。





こんなことを思う私は、やっぱり臆病で卑怯なのかな。





キュッとお湯を止めて、湯船に浸かる。





「先輩・・・」





目を閉じると、瞼に浮かんでくる先輩。





ねぇ、先輩。





好き、大好き。





もし、先輩が本当に涼香のことが好きなら。





私が涼香じゃないって気づいてよ・・・。





先輩を責めたってなにも変わらないし、今の状況に対する、ただの八つ当たり。






分かっててもやってしまう私は、やっぱり愚か者だ。





外に出て、服を着る。





髪を乾かして、1度リビングに顔を出す。





「もう寝るね。・・・おやすみ!」





「おやすみなさい。」





「おやすみ」





私は階段を上った。





涼香の部屋に入る。





ベッドに寝転がれば、天井を見上げる体制になって。





まだ明日の準備してないのに。





宿題だって終わってないのに。





襲ってくる睡魔に勝つことは出来なくて。





私は深い眠りに落ちた。






~クロッカス~
< 49 / 101 >

この作品をシェア

pagetop