聖なる夜に~涙はそっと絡め取られて~


「まだ早いですから、もう少しお休みになっても大丈夫ですよ」

身体を起こそうとするあたしを制して、島崎さんは近づいきた。

そして胸ポケットから何かを取り出す。

「……これ、受け取ってください」

彼が手渡したのは、一枚の名刺。
裏には手書きの番号とアドレス。

「私用の携帯番号とアドレスです。昨夜のことを一夜限りのことにするのか、それともこれから新しい恋を始めるかは、梓さん、あなたに託します」

……あたしは手のなかの名刺を見つめる。
選択権はあたしにあるらしい。

「僕は連絡が来ることを待っていますよ?」

彼はいたずらっぽく、囁いて、昨夜のように、頬にキスを落とした。

一夜限りにしなくてもいい?
この胸にあるドキドキを飲み込まなくてもいい?

「それでは、僕は本日の仕事があるので、ここで。ごゆっくりお過ごしください」

彼はあたしから身体を離して、歩いていく。

「……島崎さん!」

去っていく彼に呼びかけると彼は不思議そうに振り返る。

「……必ず、ご連絡いたします!あなたと新しい恋を始めたいです」

こんなに素敵なクリスマスカードってない。
彼がくれた名刺を握りしめて、あたしは微笑んだ。


**fin**

< 12 / 12 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:5

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

訳あり結婚に必要なもの

総文字数/15,345

恋愛(純愛)27ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
結婚するのは お互いにメリットがあるから。 たとえそこに 恋愛感情がなくてもいい。 2019.4.4〜
終わったはずの恋だった。

総文字数/11,225

恋愛(純愛)23ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
終わったはずの恋だった。 2020.1.30〜2020.2.27
太陽と月の物語

総文字数/64,391

恋愛(純愛)121ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
15年前のあの絶望の中で、 “真月が生きている” それだけが私の 最後の希望だった *ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー* 企画課の“太陽” 春川朝陽(はるかわ あさひ) * 企画課の“月” 八幡真月(やはた まつき) *ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー* これは 親友の恋人として 出逢った2人の 切なくて、不器用な 運命の恋のお話 【太陽と月の物語】 2019.7.24〜2029.1.22

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop