Sだけじゃ、たりない。
「当たり前じゃん!奈々もいいだろ?真里奈もきっと喜ぶぞ〜」


「え?あぁ…うん、うん!いいよ!」


「そう…?じゃあお言葉に甘えて入れさせてもらいます」


仁は、微笑みながら洋介とLINEを交換する。

私は、ちょっぴり複雑だった。

まだあのキスのことを仁に聞いていないのに、同じグループでこれから仲良くなんてできるか、不安だった。


「じゃ、俺ん家ここだから!今度遊びに来いよ〜仁!また明日な!二人とも〜」


「うん!また明日ね!」


「じゃあ、また明日」


洋介は自分の家に帰り、ついに私と仁は2人きりになってしまった。

はぁどうしよう…。やっぱり気まずい。

でも、聞くなら今しかない…!

午後4時を過ぎてもまだ明るい空と、大きな綿菓子のような入道雲が、夏らしさを演出している。

変に緊張して汗ばむ両手は熱く、ジリジリと鳴いている蝉の声がやけに大きく聞こえる。

私は、緊張と戦いながらゆっくりと口を開いた。
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