軍人様とキケンな婚前同居⁉︎
「こ、幸次郎さん。
私は大丈夫ですから そんなに怒らないで…っ。」
「………。」
私が幸次郎さんにそう言うと
彼は黙ったまま私を一瞥して
それから再び女の子に視線を移した。
そして黙ったまま彼は彼女に背を向けると
私を連れて
いつの間にかあけられていた人混みの中の道を進んでいく。
騒ぎを止めるどころか、私のせいでこんなに目立ってしまった…。
(私も本末転倒だよ これじゃ……。)
私はそう思いながら
未だに黙っている隣の彼を
チラッと見上げる。
幸次郎さんはまだ機嫌が悪いままのようで
冷たい無表情を浮かべながら
部下の人達を連れて 校門を出た。
「…あ、あの幸次郎さん……。」
「………。」
「助けてくれて、ありがとうございました…。」
おかげで倒れずにに済みました、と
私が小さくお礼を言うと
彼はチラッと私に視線を下ろしてから
「いや。」と
軽く返事を返してくる。
周りに誰もいなくなったために
彼は素のモードに切り替えていた。
「本当はもっとガツンと言ってやろうと思っていたんだがな。」
「こ、高校生相手にやり過ぎですよそれは…。」
「餓鬼だからって全部見逃すと思ったら大間違いだ。
あれでお前が怪我をしていたらあんなのでは済まさない。」
そう言いながら彼は車のところまで歩いて行くと
私を先に中へ乗せて
それに続いて隣に乗ってくる。
そして部下の外人さんが
車のエンジンをかけて
そのまま発進させた。
私はそんな隣の彼を
チラッと、横目で盗み見る。
(…幸次郎さん……私のために怒ってくれたんだ……。)
ただ肩を押されただけで
あそこまで怒ると思っていなかった。
短気のようで少し怖いとは思いながらも
ちょっと嬉しかったなんて
思ってしまったり…。
