[完結]甘やかし王子様が離してくれません。
「……置き勉せずにちゃんと荷物持って帰ってるんだ」
そう言って、わたしがぶつかってしまった人は地面にしゃがみ散らかったわたしの教科書を拾い始めた。
その人の無造作にセットされた、ブラウンカラーの髪の毛がふわりと吹いた風にゆるく揺れる。
わたしが着ている灰色と桃色のタータンチェックの膝上5センチのスカートと同じように風に揺れた。
「あのっ、悪いのはわたしだから教科書のことは放って早く教室に入ってください!!」
わたしは遅刻寸前なことを思い出し、数冊の教科書を腕に抱える人の前にしゃがみこんだ。
「わたしの巻沿いで遅刻しちゃうなんて申し訳ないです!!」
そう言うと、その人は地面から顔を上げた。