不器用な彼氏
第8話 嫉妬
梅雨前のさわやかな晴天が続く5月も半ばを過ぎ、人事異動でバタついていた職場も、ようやく落ち着きを取り戻してきていた。

自身はといえば、担当業務も二年目を迎え、相も変わらず四苦八苦しながらも、仕事を遂行しつつ、時に先日の内部異動で3階へ行ってしまった、『彼』に想いを馳せていた。

同じ建物の一つ上の階になるそこは、開放感のある広いワンフロアなのだけれど、半分以上をデザインや設計を担当する部署か占めていて、彼の所属する“広域建設部(=通称『広域』)“は、全体の1/4くらいのスペースになるだろうか。

他の部署と趣が違って、フロアの中にあるのだけれど、区切られた高いパーテーションの向こう側には、通常のデスクの他に、打ち合わせ等で使用する広めのミーティングルームや、行政の担当者や取引先のVIPを応対するための応接室まで、備わっている。

…そんな異質な環境下で、あの特異な性格の持ち主である彼のこと。余計なお世話かもしれないが、うまくやっているのだろうか?誤解されたりしないと良いのだけど?…と、思わず、心配してしまう。
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