雪の華
潤雪

手紙…

封筒をあけるとメッセージカード。


「今、見ていい?」


「いいよ」そう言ったようにうなずく…


そのカードはひらくとクリスマスツリーが浮かびあがる。


かわいいメロディまで…流れてきた。


メッセージは…?


「何も書いてないよ?」


「よく見て…」


よく見た。

穴があくほど…ない?

「ないよ…」

「上‼」



-僕の運命の人になってもらえませんか?-


私に運命の人…いないと思ってた…


別れていた頃は。


だけどまた会えた。


これは運命だよね…。


きっと…運命だよね…。



窮屈だった家から外の世界に連れ出してくれた。


私に本当に人を愛する事を教えてくれた。


どんな私だってすぐ見つけてくれる…


いつだって…きっかけをくれた。



彼以外に運命の人なんて…いないよ。


忘れた事ない。


いつも…想ってた。



だけどね…急に立てなくなって…


私、本当はどこか悪いのかな?


私に言わないだけで、手遅れな病気だったりして…

薬もないし。


大袈裟だけど…死んじゃうのかなとか…


いつまで付き合っていかなきゃいけない病気なんだろう…


横断歩道を渡ってる時に立てなくなった時もあったし、


不安だった。


「大丈夫」そう何度も自分にいい聞かせてた。


お父さんとお母さんが真剣に私の事話し合ってた日も…

何度も見たよ…聞いたよ…こっそり…


原因わからないから…一人の時に事故にあったら困るし通信に変えようか。

咲雪を自由にしてやろう。

俺が…怒りすぎてストレスでこうなったのかと、いつも自分を責めていた。


それは関係ないのに…。


モデルをしてる私を皇雅に見てほしかった。

私が生きている事を証明したかった。


「原因不明」だから、いつ何があるかわからないから。


だから、ポスターを通して…私を見ていて欲しかった。


歩けなくなる日が来たら…ドレスなんて一生着れないし。


着物だって…だから生きている今着てしまおうって。


歩けるうちに着てしまおうって…


その姿を皇雅に見てほしかった。


彼の隣に戻れないと思っていたから。


自分の姿を街で見て…いつどうなっても構わないって思った日もあった。


普通に自分の足でどこにでも行ける…

私には当たり前の事。


だけど…急に立てなくなって、原因不明って言われて…

なのに、どこも悪くなくて…

意味わからなかった。


高校辞めた時だって、泣きたいほど嫌でクリーニングから返ってきた制服を抱きしめて何時間も泣いた。


学校も制服も私の青春。

制服から風に乗ってする、教室の香り。

どこかに残っていた…皇雅の香水の香り。


全部…全部…消えていた。


ダルイ朝も…授業も…恋しくて。


部屋で時計見て、今3時間目…もう下校時間…

茉叶、帰ったかな?


皇雅は今どこにいるのかな…

遠くに走ってるのかな…今日、休みなのかな…


考えてる事はいつも一緒だった。


一人になって…何しててもどっか寂しくて…。


だから…季節をこえて

-僕の運命の人になってもらえませんか?-


そう…言ってもらえるなんて…夢にも思わなかった。


近くに住んでたって…同じ道を歩いてたって…

偶然見かけたって…また交われるなんて思ってなかった。



「ねぇ…何で私がいいの?」


他にいっぱい出会いだってあったはず。


何も学生で融通きかない私よりいい人いたはず。


今は…「いつ立てなくなるかわかんないし…」

面倒じゃない?


「いいじゃん…一緒にいられたら…俺はそれだけでいい」


「よくない…苦労しなくていいじゃん…」

かわいくないね…私。

嬉しいのに…素直になれないよ…。


普通に幸せになってほしい人だから。
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