塩顔男子とバツイチ女子




甥っ子の祥太ももうすぐ一歳。半年前、離婚だ何だと騒いでいた頃はまだハイハイするかどうかってところだったのに。子どもが大きくなるのは本当に早い。



「お姉ちゃんみたいにバリバリ仕事してるのっていいなぁって、ちょっと思う」

「香ちゃんの方がバリバリやってない?畑も手伝って子育てもしてさ」


圭と結婚した時から香ちゃんも畑を手伝って、トラクターだって運転出来る。祥太が生まれてからは子育て優先だったけど、最近はまた畑に出てるっていうからすごい。


「これは家の仕事だし。外の世界で働いてた時は、いいなぁって思ってたけど、農家って大変。一日も休みがないし」

「確かにそうだねぇ。子どもの頃、遠出した記憶ってほとんどないもん。じいちゃんが生きてた時に温泉行った事あるけど、水撒きとか全部やってから行って一泊して帰って。全然楽しめなかった。祥太は色んな所に連れて行ってあげた方がいいよ」


家族の思い出って大人になっても残るし、子どもを犠牲にしてほしくない。夏休みとか、自分だけ特に出かけた思い出がないって寂しいから。


「それはもちろん。みすみさんにも言われたし。たくさん遊びに連れて行って、いっぱい刺激を与えた方がいいって」


ばあちゃんは、じいちゃんが亡くなるまでずっと畑仕事をしていたから若い頃は出かける時間はもちろん、子育てや家事にも追われて、自分の時間なんてまったく無かったとよく言っていた。
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