切リ取リマスカ?
「ちょっと、やめて!」


構内を見回してみると、ちょうど人が少ない時間帯だった。


駅員の姿も見当たらない。


自分の顔がみるみる青ざめていくのがわかった。


「乱暴しようってんじゃねぇんだよ、騒ぐなよ」


そう言われたって信用なんてできない。


ただどうして大雅の名前を知っているのか、それだけがあたしの胸に引っかかっていることだった。


2人に連れて来られたのは駅の裏側だった。


駐輪場になっているそこに人影は見えない。


建物に隠れてしまえば、なにが行われているかわからない状況だ。


「話ってなに……?」


あたしは2人の男を見上げてそう聞いた。


「俺たち大雅に金貸してんだよ」


金髪の男が一言そういった。


「は……?」


あたしは男を見て唖然としてしまう。


大雅がお金を……?


それこそ現実味のない話だった。
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