結婚前夜
「お前の会社に、大西未来って子、いるだろ? 連絡先教えてくれっ!」

『クロお前、何した?』

朝から眠りを妨げられた親友の不機嫌な声。尋問されるまま、宗介は昨夜の出来事をすべて話した。

『事情はわかった。でも、連絡先は個人情報だから教えられない』

「えー。俺、どうすりゃいいんだよ」

『その代わり、会える機会は作ってやる。その後どうするかはお前次第だ』

「シロ~っ!」

『わかったら電話切るぞっ!』



航と未来が同じ会社に勤めていた。その偶然が身を結び、こうして結婚を迎えることができたのだった。

「シロには足向けて眠れねぇよ」

「どうしたの、突然。四年前のこと思い出してた?」

未来の問いに宗介はうなずき、そして微笑んだ。

「これからもよろしくな、未来」

「もちろん。こちらこそ、よろしくお願いします」

惹かれるように重なる唇。離れた一瞬に、未来が口を開く。

「そろそろレストランに行かなきゃ。予約時間だよ」

「俺、未来を食べたい」

「ダーメ。先にご飯」

切り替えの早い未来は、ポーチから口紅を取り出し化粧直しを始めた。

その後ろ姿に、宗介は小さくつぶやいた。

「来年も、このホテルに来ような」

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