理想の恋じゃないけれど~ホテル・ストーリー~

「ええ」それで、上着だけ浮いていたんだ。
そう思って、結花は納得した。

「でも、あなたのように失礼な質問にも、嫌な顔一つせず、優しく答えてくださる姿を見てると、心が痛んで。
本当のことを打ち明けようかと思った矢先に、他の人にあなたを連れ去られたのを見て、すごく後悔していました。
こんなに嫌がらせばかりしてたら、嫌われたに決まってると」

「本当ですね。あまりに失礼だったので逃げ出しました」
彼は、申し訳ないと言って謝った。

「どうして戻ってこようと思ったんです?ああ、ごめん。また質問ばかりですね」
結花は、心の底からの笑顔を見せた。

「ジャケットお似合いでしたよ。武骨で頑固そうなところが」

「面目ない。しっかり見抜かれてましたね。僕がいけなかったんです。
きちんと最初から結花さんに一目ぼれでしたって言わなかったから」

「一目ぼれ?」
「はい。どうやら、一目であなたの事を気に入ったみたいです。
前のめりになって、失礼な質問をしてしまったのもそのせいです。
お付き合いしてください。もちろん、結婚を前提として」

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