白い狐は出会いの季節
「現実離れしているだろう」
芯の通った声は後ろから。
振り向くと何枚かの書類を並べて机とにらめっこしている業さんがいた。
「はい…なんかSFみたいです、宇宙戦争の前の作戦会議……みたいな感じで、ははっ」
現実逃避をしたいのか私の口からは冗談が飛び出てきた。最後の笑いは乾いてしまった。
もちろんそれはこの場の張り詰めた雰囲気にはミスマッチだった。
……。
言葉にしてすぐに後悔し、「あ、スルーして貰って構わないです」と小声で呟いた。しかしそれは叶わなかった。
「花楓ちゃん、すべったね、ドンマイだよ!」
と言わんばかりに光さんがニヤついた顔を向けてくる。
私はそれを目線で一蔑し、ため息をついた。
「まぁ、あながち間違ってはいない。」
業さんは目線で私をまっすぐ捉えた。
一呼吸。そして告げた。
「最初に謝っておく。
君をこんな形で巻き込んでしまってすまない。
そして、君が大きく関わってしまった今回の件、我々は今からそれに一段落をつけに行く。
私の立場で言えることではないが、どうか君にも協力をして欲しい。
これは私の都合のいい妄想なのだが、君がここまで来てくれたということは、我々と距離を置くことを考えていない、と考えている。」
口が開けば、一つ一つ確かに重みのある言葉が出てくる。
その意味を咀嚼し、唾と一緒に飲み込んだ。
業さんは続けた。