I line xx
結局どうすることもできず


仕事を何とか定時で済ませると


急いで会社を出た


ビルを出たところで


急いでハルの携帯電話に電話をする


季節は着々と進んでいて


すれ違う人達の服装の色がだんだん


暖色系の暖かい色になっていた


人混みをかき分け


二つ向こうの地下鉄の駅へと向かった


そこからなら


乗換なしで部屋のある駅まで乗ることができた


静かな住宅街を通り


ハルを見たライブハウスの前を通る


三度めのコールでハルが電話にでた


「大丈夫?今から行こうかな」


そうハルに訊ねた


「大丈夫、さっきマネ君が来てくれた。」



声がかすれて話しづらそうだった



「お見舞いも置いてってくれた


ポテチだったけど。」


そう聞いて少し安心した



そっか、ハルは東京で独りじゃないんだ



「それより、愛果今は仕事いそがしんじゃないの。」



そう私を心配してくれた


「実はレコーディングが来週から


始まるんだ。来週っていっても明々後日なんだけど。」


セントラルパークの地下街を通って名城線の駅へ


歩いた


地下にあるお店は


クリスマスのディスプレーで溢れていた


私は横目でお店を眺めながら話を続けた


クリスマスプレゼントは何がいいかな


「今回ライブキャンセルしたから


ちょっと別の仕事を入れてもらうことに


したんだ。」


私はそうなんだとしか言えなかった


「今回沢山の人に迷惑をかけたから


愛果には、同じようなことさせたくない。」


私は何も言えなかった


返事に困っているとハルがこう続けた



「大丈夫だから、信じて愛果


必ず逢いに行く。迎えにいくから。」






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