夢のひと時
「どうも」
その声もその言葉も、覚えている。図書室で出会う度に先輩はそう挨拶していた。
「神崎先輩」
「懐かしい声だなと思ったら本人で驚いて」
先輩が高校を卒業してからだから七年以上。だけど全然変わらない穏やかな声と優しい眼差し。懐かしさと嬉しさに胸がつまる。本当に神崎先輩だったんだ!
「え、待って、雛、彼が神崎先輩なの?」
小声で尋ねる奈美に無言で頷く。
「お友達? 僕を知ってるんだ」
「あ、すみません。あの、雛から聞いていて」
「悪い話じゃなきゃいいんだけど」
クスクスと笑う先輩は私の記憶とは少し印象が違うように思えた。高校時代先輩は無口でひとりの世界にいるタイプで、自分から人に話しかけることはなかったのに……。
「あの、お久しぶりです」
「懐かしいな。元気だった?」
「はい、先輩もお元気そうで」
先輩とそんなに会話をしたこともないので何を言っていいか分からない。
「高原さんに会いたかったんだ」
耳を疑った一瞬の間に、スーツの男性が先輩に小声で声をかけた。
「三上先生、それでは私はこれで」
「はい、よろしくお願いします」
「では、失礼します」
彼が去っていくのを見送り、視線を「三上先生」へと戻す。
その声もその言葉も、覚えている。図書室で出会う度に先輩はそう挨拶していた。
「神崎先輩」
「懐かしい声だなと思ったら本人で驚いて」
先輩が高校を卒業してからだから七年以上。だけど全然変わらない穏やかな声と優しい眼差し。懐かしさと嬉しさに胸がつまる。本当に神崎先輩だったんだ!
「え、待って、雛、彼が神崎先輩なの?」
小声で尋ねる奈美に無言で頷く。
「お友達? 僕を知ってるんだ」
「あ、すみません。あの、雛から聞いていて」
「悪い話じゃなきゃいいんだけど」
クスクスと笑う先輩は私の記憶とは少し印象が違うように思えた。高校時代先輩は無口でひとりの世界にいるタイプで、自分から人に話しかけることはなかったのに……。
「あの、お久しぶりです」
「懐かしいな。元気だった?」
「はい、先輩もお元気そうで」
先輩とそんなに会話をしたこともないので何を言っていいか分からない。
「高原さんに会いたかったんだ」
耳を疑った一瞬の間に、スーツの男性が先輩に小声で声をかけた。
「三上先生、それでは私はこれで」
「はい、よろしくお願いします」
「では、失礼します」
彼が去っていくのを見送り、視線を「三上先生」へと戻す。