新選組と最強少年剣士
よく見れば、立の身体が震えている。


焦って、僕も突きに本気で殺気を込めた。


いや、こもったという表現が正しいか。


寸止めできてよかった‥‥‥‥


「立てる?」


「腰抜かしてしまいました‥‥‥すみません」


「ほれ」


立に向かって手を差し出す。


立は僕の手を取って立ち上がった。


「ごめんね。でも、さっきのはよかったよ。思わず本気になっちゃった」


「あ、ありがとうございますっ!」


久しぶりに褒めたからか、僕に本気を出せれたのが嬉しいのか。


なんかわからんがすっごく嬉しそうだ。


「隊長の本気の殺気を久しぶりに感じました。
やはり衰えてはいませんね」


「当たり前だろ。見た目はこうでも、毎日ちゃんと稽古もしてるんだから」


この時代の戦闘はシンプルだ。


電子機器も無いから、複雑に相手のことを考える必要がない。


銃も現代に比べたら、そこまで飛距離があるわけでもない。


僕の身体は、銃発の音さえ聞こえれば勝手に動く。


「さて、もう一本いくか」


「はいっ!」


立の圧倒的な弱さは体力。


まぁ女性だし、ある程度の相手との戦闘で力勝負になるとほとんど負ける。


太刀筋も、僕から見れば遅い。


まぁ男装してるとはいえ、立は強そうに見えないから不意討ちとかで勝つんだろうけど。


強く見せないことは大切なことだ。


自分より強い相手と自覚すると、本来の力以上の力を出せることもある。


場合によっては、強く見せることも大事だが。
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