不法進入、許しません!!
ーーだ、誰が勤務中ですって……?




「えーー。でも今利用してる人いないじゃん。今日もうこないんじゃない?
あ、長岡さんだっけ。後お願いしても大丈夫??」


---ね?


お姉さん方の視線が先輩ではなく、一斉にこちらに向く。
一瞬ドキッとしたが、利用客少ないのも確かだ。私一人で事足りる。


「ええ。構いませんよ、先輩。後は私一人でも。今日は利用客も少なそうですし」


今日中にこのミステリーを読み終えてしまいたいし、一人の方が読書も捗りそうだ。


私が先輩にもう一度声をかけようとしたその時、



「涼介が図書委員とか地味なの入るからさ、うちら超ーびっくりしたんだけど」


……私の声はその言葉に掻き消されてしまった。


「図書委員ってさ、彼女みたいな子じゃないと。だって涼介はこっち側じゃん?」



ケラケラと笑う声が図書室に響き渡る。
充満してきた香水のきつい匂いに、酔いそうになってきた。


私は閉じかけだった本のページから栞を辿る。


『はらり』



私が好きなその繊細な音も、笑い声に消され、雑音にすらならない。



(先輩はどう思ってるんだろう)



私は大好きなものを汚された気がして、チクチクと痛む胸をギュッと押さえた。


悲しくて、だけど何も言い返せなくて。




『先輩、どうして図書委員になったんですか』




またその疑問で頭の中は埋め尽くされるが……聞く勇気は出なかった。


その答えを聞くことが、初めて怖いと思ってしまったから。
早く先輩を連れてここを出て行ってくれないかなと、時が過ぎるのを待っていると、


「ねぇねぇ、みほりん」


先輩が呑気な声で喋り出した。


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