校庭に置いてきたポニーテールの頃
「ヒロも来てるんじゃないの?運命の再会あるんじゃない?」

「ほんとにやめてよ、ヒロなんて札幌に行ったきり連絡なんてとってないし」


昔の恋愛を振り返りながら話すと甘酸っぱさが胸をくすぐる。

懐かしさと恥ずかしさと半分ずつ胸の中を占め、身体の内側がほんのりとあたたかくなった。


「あかちゃん、幼稚園でならったおうた、聴いてくれる?」


幼稚園に通う5歳のゆうくんが、手振りをつけながら童謡を歌ってくれた。


唯が私をあっかと呼ぶのを聞いてから、ゆうくんは私のことはあかちゃんと呼んでくれる。

まだ小さなゆうくんは前に一度会ったきりで、私のことなど憶えてないはずなのに、こうして懐いてくれるのが嬉しい。

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