校庭に置いてきたポニーテールの頃
そうしていく中で自分の気持ちにはっきりと気がついたのは、日直の仕事でスケッチブックを美術室に取りに行くときのことだった。

俺らは偶然、サッカー部の澤田とその彼女が二人でいるところを目撃した。


あのとき、宮西は泣いていた。俺もヒロも、宮西が澤田のことを好きだってことに、そのとき気がついたんだ。


気がついたと同時に、胸の中にチクッとした痛みを感じた。

宮西が泣いていることがつらいと思ったし、それよりあいつが澤田のことを好きって知ってしまったことが、自分にはどうしようもないほどに嫌だと思ったんだ。


だけど、あのときもう一つの気持ちにも気がついてしまった。

ヒロが宮西の頬に触れ、そのまま涙を拭っていたんだ。


そんなこと、いくら泣いていたとはいえ、なんとも思っていない女子になんかできるわけがない。

自分の気持ちに気がついたと同時に、ヒロも俺と同じ気持ちだということも俺は知ったんだ。

< 212 / 345 >

この作品をシェア

pagetop