校庭に置いてきたポニーテールの頃
昨日はマナの事を馴れ馴れしいと思ったけど、あの時マナは勇気を出して言っていたのかな。

私は先入観が先走った事を後悔した。


もっとも、唯の話よりも真綾ちゃんの話を信じるのも変な話だし、私は今日からでも、マナのことを友達としてきちんと接してみようと思った。

帰りにでもマナに話しかけてみようかな。


ぼんやり考えているうちに校舎が見えてきて、私達を追い抜いた後ろ姿に私は思わず目を奪われる。


……あ、澤田だ。


昨日は姿を見ることができなかったから、朝から澤田を見られて今日はラッキー。


それでも去年は同じクラスだったから話すこともあったけど、今はこうしてすれ違っても挨拶すら交わすことはないのかな。


「あれ、澤田今こっちシカトしたよね」


唯が言った。ちなみに、私の澤田への気持ちは誰にも打ち明けていない。


「きっと思春期で恥ずかしいんじゃない?」

なんて、冗談ぽく唯には言ったんだけど、それは自分に言い訳をしていたんだと思う。

< 36 / 345 >

この作品をシェア

pagetop