摩天楼レボリューション
「そりゃあ、ここまで高級なとこは初めてだけど、この年になればそれなりにあちこちで食事してるもん。その応用で、ある程度は対処できるよ」


心なしか得意気な表情を浮かべながら、黒須さんは続けた。


「それに、困った時のネット頼みで、一応基本的なマナーは予習しておいたから」

「あ、なるほど…」

「といっても、ワインの知識までは習得しきれなかったけどね。っていうか、そこまで努力する必要性は俺にはないかな、と。別にそんなに酒に詳しくなりたくないし。だから真剣に調べなかった、ってのが正解」

「ソムリエさんが色々とアドバイスしてくれますもんね」

「そうそう。プロにお任せしとけば間違いないから。とにかく、一番の難関はクリアした訳だし、後は食事を楽しむのみ」


そうこうするうちにお皿にちょこっと上品に盛られたお料理が運ばれて来た。


「おお、これが噂のアミューズ・グールか」

「え?あみゅ…?」

「メニューにはない、前菜の前に出されるサービスの料理。居酒屋のお通し的なね。……あ。といっても、君はまだ居酒屋には行ったことがないか」

「あ、いえ。ありますよ」


黒須さんの言葉を、私はやんわりと否定した。


「父がお酒大好きなので、ファミレスの代わりに家族で行ってました。別に未成年は立ち入り禁止という訳ではないので」
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