摩天楼レボリューション
ちょっと渋めではあるけどメニューは豊富で安くて美味しくて、私はそこに連れて行ってもらうのが結構楽しみだった。


「もちろん私はソフトドリンクでしたけど」

「ああ、なるほど。家族でね」

「はい」

「でも、お通しはしっかり別料金だったりするけど、アミューズは完全にサービスらしいよ」

「そうなんですか…」

「これが出るって事は、やっぱここはそれ相応の格式のレストランって事なんだなぁ」


しみじみと呟きながら黒須さんが一番外側にあるカトラリーを手にしたので、私もそれに倣った。

あみゅ何とかを食し終えた所で、絶妙なタイミングで次の料理が運ばれて来る。
スタッフさんの動きもとてもスマート。

これが高級店の、フルコースのサービスというものなのか…と私は密かに感激していた。

誕生日や進学祝い等で、それなりにお高めの飲食店に連れて行ってもらった事はあるけれど、ステーキ屋さんとかお寿司屋さんとかだったので、本格的なコース料理というのを食べるのは実はこれが生まれて初めての経験なのであった。


……まさかそんな貴重な場面に居合わせているのが、ほんの数10分前に出会ったばかりの人だなんて。
人生ってホント、分からないものだよな~と思う。


「そういえば、まだ君の名前聞いてなかったね」


怒濤の展開に圧倒されながらも、ちゃっかりお料理の味を堪能していた私は彼の言葉に慌てて返答した。
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