Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
“彼のところへ行け”
たった一言なのに、言えない。

ケンはうつ向いてしまった。

泣くだけ泣いて、少し落ち着きを取り戻したあこは弱く笑った。

『ケン?ごめんね?
取り乱しちゃって……』

「…いや、いいんだ。
でも…俺に出来る事があったら言ってな?」

『…今日の事は忘れて?
明日からも、あこと一緒に居てくれる?

ケンは、離れて行かないよね…?』

あこの以外な発言にケンはビックリした。

てっきり、別れて欲しいと言われると思っていたから。

「当たり前だろ?
何、言ってんだよ(笑)

帰ろう?あこ…」

あこは、ケンに肩を抱かれながらゆっくりと家に帰った。


その日の夜。
あこは真っ暗な部屋でずっと考えていた。


あっちゃんに会いたい。
会いたい。
会いたい。
会いたくて仕方ない。

でも…会ってしまえば、もうケンの所には戻って来れない。

…そんな気がする。

でも…あこはあの日。
《あこの花》をみた日。

あっちゃんじゃなくて、ケンを選んだんだ。

ケンを傷付けたくない。
< 364 / 376 >

この作品をシェア

pagetop