不思議の街の不思議な話


「油断しすぎですわ。」
「....そうだね。」

アビゲイルの言葉を真摯に受け止めて項垂れるブラン...。

ここで私が真実を言うとどうなるのだろう?という考えが頭をよぎった。ブランは完全にザッカリーの言うことを信じてたようで、私が別の第三者に襲われたものと勘違いしてるけど、もしらその襲った本人がザッカリーだったら?

衝動はムズムズとしていたが、喉から上へは出て来ようとしない。

「...犯人の顔は見てないの?」
「...え、うん...」
「いきなり襲われたのかい?オレが渡した護身用のステッキがあっただろ?あれはどうした?」
「えと...そんな暇が...」

ブランの矢継ぎ早の質問に、適当に答えて見たが、現実は全てあのザッカリーの仕業だ。しかし、さっきのブランとザッカリーのやりとりを見た後では言い出しにくい。

歯がゆい気持ちを抑えて、ブランが一人考え込むのを横目に見ていたところで、黙っていたアビゲイルが口を開いた。
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