甘々なボスに、とろけそうです。
っていうか、新條さん。騙したな……!?
爽やかに里香子さんに微笑みかける新條さんを、ギロリと睨む。と、私の視線に気づいた新條さんが、こっちを見て薄笑いしてきたではないか。ほんの一瞬みせた意地悪な顔付きを、私は見逃さなかった。
そうか。ホテルに連れ込むなんて嘘をついて、私をからかっていたんだ。だったら、さっき抱きしめられたアレも……演出?
(やっ、やられた……!)
結局、新條さんにとって、私はいいオモチャというわけか。
「お兄ちゃんが、私に連絡してよ……」
わざわざ新條さんを通さずとも。そしたら私は、あの人にからかわれずに済んだ。
「それができたらいいんだけど……」
「できないの?」
「俺の携帯、今手元にないんだよ」
ないって……今朝まで、私とメールしてたでしょ。っていうか、
「1階エレベーターの前で出くわした時、使ってたよね。そのあと、なくしたの?」
「あれは……プライベートのじゃなくて、会社から支給されてるやつなんだ。仕事でしか使えない」
(……??)
「よくわかんないんだけど」
「そのうち、わかるよ」
なんだその、意味深な返事は。