甘々なボスに、とろけそうです。


「ちょっと待ってろ」とボスがカウンターの向こうに行き、戻ってくるとテーブルにワイングラスを並べた。そこに、ワインが注がれる。

まだ飲むのかと驚きつつ、もうちょっと飲んで緊張をほぐすのも悪くない。

ソファにかけ、目の前には夜景がパノラマ写真のように広がり。手には、ワイン。隣には――ボス。


「乾杯」


お店ではグラスをぶつけなかったが、今回は、コツンと優しくぶつけた。


「さっき、『答えてくれない』と言っていたが。近い未来、そんなこともできるようになる」


ボスの言葉に、耳を疑った。


「ほんとですか?」


「あぁ。今はテスト段階だが、まるで人と会話してるようなクオリティのものを目指す」


ゲームキャラ相手との会話機能――そんなものが実装されれば、ヴィジュアル、シナリオ、中の人と最高峰の乙女ゲーである猫プリが、より注目されること間違いなしだろう。


「それ、絶対楽しいです! でも、よくご存知ですね」


「ビルが、それを作っているからな」


「ウィルくんが……!?」


つまり、ウィルくんが猫プリをリリース前からやっていて、ヘビーユーザーなのは、今後実装される新機能を見越してのことだったの?


「キャラの性格、言動をすべて頭にたたき込ませた上で、作らせている」


「それって、かなり、大変ですよね……」


「だが、あいつは引き受けた。やってみせるんだと」

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