男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

季節は初夏に入り暖炉は使用されていないが、いつでも室内を暖められるように、新しい薪が用意されていた。

シャンデリアは小振りで、天井からの光を補うように壁の四ヶ所にランプが灯されている。

中央には六人がけのダイニングテーブル。

真っ白なテーブルクロスがかけられ、その上にも燭台がふたつ、ロウソクの炎がテーブル上を明るく照らしていた。


大公殿下は奥の椅子に座っていて、「ステファン」と呼びかけてくれた。

その声は穏やかで温かみがあり、青い瞳も弓なりに弧を描いているので、どうやら私を歓迎してくれているようだ。

私は殿下に嫌われていなかった……それを実感して、喜びが込み上げる。

室内に二歩入った場所で正式なお辞儀をし、「お招き下さり、光栄です」と挨拶すると、「堅苦しいぞ。もっと楽にしろ」と笑って言ってもらえた。


ホッとした後は、テーブルのコーナーを挟んだ殿下の隣に座っている少女に目がいった。

髪は私と同じ金色で、ゆったりと波打ち、腰までの長さがある。

サイドを結い上げて、バラの花で飾っていた。

透き通るような白い肌にピンク色のほっぺ。
瞳は殿下と同じ青い色をしていて、目の覚めるような美少女だ。

初めて見るその少女は、もしかして……。

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