男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
詰問するような口調で姿を現したのは、大公殿下だった。
部屋に一歩足を踏み入れて、ベッドに座る私を見た直後に、青い瞳を見開く。
文句の続きを言えないほどに、盛大に驚かせてしまったようだが、私の方がその何十倍も驚いていた。
胸を隠すこともできず、息をすることも忘れて、なにもできずに固まるだけ。
裸の胸に青い視線が止められていても、それを恥ずかしいと感じられないほどの衝撃の中にいた。
しかし、行動も思考も停止していたのは、ほんの少しの間だけで、「女……?」と呟く殿下の声を聞いた途端に、ハッと我に返る。
短い悲鳴を上げた後は、胸を隠すように前屈みになり、巻き取った布帯がコロコロと床に転がり広がっていく様を、焦りの中で見つめていた。
ど、ど、どうしよう……。
よりによって、大公殿下にバレてしまうなんて……。
青ざめて震える私。大公殿下の顔を見ることはできず、もうなにもかもお終いだという恐怖と絶望の中にいた。
ドアの閉まる音が聞こえる。
その後は靴音がゆっくりとこっちに向かい、目の前で止まった。
私が脱ぎ捨てた上衣を、長い腕が拾い上げ、裸の背中にかけられた。
「女だったのか。騙されたな」