男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
ジャコブはいなかった。きっと晩餐の準備を始めているのだろう。
ひとりきりの部屋の中で、ベッドに腰掛けた私は、大きく息を吐き出した。
胸に手を当て、唇を噛みしめる。
なんで解けるのよと、自分で巻いた布帯に文句を言いたい気分でいた。
座ったままで、上衣を脱ぎ捨てる。緩んでお腹の辺りに溜まっている布帯を、外しにかかる。
実家を出るときには簡単に考えていたけれど、女であることを隠すのって大変で疲れるものだと、しみじみと感じていた。
ふと視線を上げてドアを見たのは、廊下に誰かの靴音を聞いたからだ。
部屋の鍵を閉め忘れていたけれど……大丈夫だろう。
この時間、ジャコブは食事の準備に忙しいはずだし、ジャコブの他に訪れる人もいないから。
胸元に視線を戻し、布帯を巻き取る作業の続きに戻る。
私の胸、なんでこんなに大きく育ってしまったんだろう。重たくて邪魔なだけなのに……。
布帯をすっかり巻き取った、そのとき、突然ノックもなくドアが開けられた。
「おい、なぜ部屋に戻っている。尿意があるというのは嘘だろう。途中から手を抜いた本当の理由は……」