男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

「あの、私と家族の処分は……」と、恐る恐る尋ねると、殿下は笑うのをやめて口角をニヤリと吊り上げた。


「そうだな、フォーレル伯爵の処分として、感謝状でも贈るか。勇敢で面白い剣士を預けてくれたという感謝状をな」

「へ……?」

「ステファニーの処分は、入団だ。お前に騎士爵を与え、青の騎士団への入団を許可する。任務は俺の側付きの護衛だ」

「え……えええっ!?」


口をあんぐりと開けて、すぐ側にある美しい顔をマジマジと見つめる私。

「分かったか」と笑いながら言われても、全然分からない。

大公殿下を騙したというのに、私は牢に入れられるのではなく、実家に帰されるのでもない。

青の騎士にしてくれて、大公殿下の側付きの護衛という花形任務まで与えられるとは……処分ではなくご褒美だろう。


殿下は、まだ驚きの中にいる私の腕を引っ張って立たせると、そのまま私を腕の中にすっぽりと閉じ込めて、額に唇を落とした。


これは一体、なにが起きているのだろう……。


状況を理解できないほどに驚き固まる私の鼻は、殿下の髪から香るバラの香りを嗅いでいて、耳は艶めいた大人の男性の声を聞いていた。


「お前が女でよかった……。
最近の俺は、もしや男色なのかと、思い悩む日々だったからな」


それはつまり、殿下が私を……。

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