男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

「はっ」と返事をして騎士のひとりが路地へと駆け出し、その姿はすぐに見えなくなった。

もうひとりの騎士は親玉の男を縄で縛り上げていて、それが済むと気絶している下っ端にも縄をかけていく。


私はまだ地面にお尻をつけたまま、大公殿下の美しく威厳に満ちた姿を眺め、色々な感情の中にいた。

その強さに憧れる。

この国を統べる王が、このお方でよかったという尊敬と、二度と過去の大戦の世に戻らないだろうという、この安心感。

それと守ってくれたことに対する、感謝と感激。

後は……迷惑をかけたことに対する、申し訳なさ。


指示を出し終えた殿下は、再び私と視線を交えた。

宝石のような青い瞳に睨まれて、心臓が跳ねる。

そうだった。規則破りの私はこれから処罰されるんだ。どうしよう……。


再び湧き上がる焦りの中、あからさまに目を逸らして下を向いたら、大公殿下の黒いブーツが一歩、二歩と、私との距離を詰めるのが見えた。

どんなお咎めが……と怯える私の頬を、銀色の美しい髪が撫でる。

急接近に驚いたときには、目線が上昇し、荷物のように大公殿下の肩に担がれていた。


「大公殿下! ひとりで歩けますので、どうかーー」

「駄目だ。勝手な行動を取られては敵わんからな。このまま城に帰って、お仕置きだ」


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