男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

そんなにも私に対する怒りが強いのかと驚き、目を見開いたが、そうではないとすぐに分かる。

後ろに倒れながら見た光景は、悪党の親玉が落とした剣を拾って、下から上へと振り上げ、斬りかかっている様子だった。


大公殿下は私を右手で突き飛ばして守るのと同時に、左手で腰の剣を鞘から半分引き出し、男の剣を受け止めていた。

甲高い金属音が響いた後は、男は青の騎士ふたりに地面にねじ伏せられ、今度こそ観念した様子。濁った瞳からは完全に、黒い光が消えていた。


すごい……。

私は殺気に気づくこともできなかったのに、大公殿下は顔色ひとつ変えずに、不意打ちの攻撃を受け止めた。

それも、剣を半分しか抜かずに。

実家で聞いた父の言葉、『青の騎士団長と肩を並べるほどの腕前』というのは本当みたい。

ふたりの青の騎士も相当に強いと思ったが、大公殿下はそれの遥か上をいく……そう感じると、全身に鳥肌が立っていた。


地面に尻餅をついた格好の私の前で、大公殿下が騎士に命令を下す。


「ひとりは城に戻り、団長に報告して兵をここへ。アジトの中を徹底的に調査しろ。もうひとりは兵が来るまで、こいつらの見張りだ」


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