タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
一体いつから分かってたんだろう。
『よく追ってるじゃん?』
そう言った田中さんの言葉。
私、無意識だよ、それ。
いや、追ってたかも。
……いや、違う!
アイツが近くにいるせいだ!
はぁ。困ったなー。
目が合うだけでいちいち心臓うるさくなるし。
あんな笑顔向けるし。
なんなのあれ。私には絶対しない顔!
いつもと違うから、こんな優しくされると調子狂っちゃうよ。
はぁ、夏休み中か……。
ちゃんと告れるかな。
「佐來!」
「っはい!」
突然肩を叩かれて驚きとともに顔を上げると、キムラ先生がしかめた顔をして立っていた。
あ。
うわー、忘れてた。キムラじゃん。
社会の先生の木村勇。
ツンツンはねさせた髪は年齢に似合わず、ただ若さを維持するのに必死な状態だ。
生徒からは嫌われ者の存在なんだよね。
しばらく顔を合わせ続けると、木村先生が口を開いた。
「放課後、職員室な」
それだけを言って、次の生徒の名前を呼び、授業を進めた。
だんだんと視線を落とす。
放課後……?
職員室?
「ドンマイ、佐來さん」
クスクス前から笑う声に睨んでから、机に伏せた。
どうやら、私は久しぶりの居残りをする羽目になってしまったようです……。
もーー助けてっ、ゼテルアさん!