目を閉じてください
『皆様にご報告があります。私ごとではありますが、この場をお借りして婚約者を紹介させて頂きます』
当然ながら会場がざわつき、何なら悲鳴にも似た声が上がった。
ふっと照明が落とされ、スポットライトが私に当たる。
「文李。こっちへ」
一段高いステージに呼ばれ、脇から上がる。
「あんな若い小娘で大丈夫か??」
「どうせ財産目当てよ」
と、ひそひそと聞こえるように囁く。
当然だ。
「あの…」
「堂々としていればいい」