目を閉じてください
「今、戯言を言うた者、こっちに来てワシに同じこと言うてみなさい」
マイクもないのにやたら響く声が、後ろの入り口の方から聞こえた。
タキシード姿の老人がMinatoと2人で立っていた。
「総帥…!!」
会場がざわついた。
陰口を言っていた人たちが口をつぐむ。
「仲田さん、いや、田中さん、いや、あれ??そそ、そうすい!?」
結局またちゃんと名前を聞いていなかった。
いや、一族だから真部でいいのか。
「文李さんはいい子じゃ。ワシが保証する」
ニカッと笑った歯はきれいに揃って真っ白だった。
「…ありがとうございます」
ふたりで顔を見合わせて微笑んだ。