目を閉じてください
6
「捕まえて!!泥棒ですっ!!」
エレベーターの外の通路で、床にへたりこんだ女性が男性を指して叫んだ。
「はっ!?」
ポカンとする私。
そんなばかな。セキュリティは万全のはずだ。
そして真部さんは、私に触れかけた男性の手を掴み、エレベーターの中できれいな背負い投げをした。
「非常ボタンを押せ!!」
「えっ!?あっ!?はい……」
訳が分からないまま、キョロキョロする。
けれどもちろん、エレベーターの中にも防犯カメラが設置されていて、即座に異常を感知してそのまま止まってライトが切り替わった。
一瞬の出来事に、呆然と立ち尽くしてしまった。