目を閉じてください


「怪しい。あんたがそんなにムダに元気なときは、なんかあったとき。姉を舐めないでもらおう」


バレてる。
冷や汗をかいてボリポリとおでこを掻く。


「ほら、その癖も!!ごまかそうとしたり嘘つこうとするときの、小さい頃からの癖!!」


「そうなの???」


伊達に姉はしてないな。
うむむ、と私。


「……実はね……」


他に患者もいるので声を潜める。


「こんやくしゃ!?」


慌てて顔の前で、シーっと指を立てる。


「大きい!!声!!」


「ごめん」


言ってキョロキョロ見渡し肩をすくめて舌を出す。


リアクションが妙に古いのは母親譲りか。


いや、もしかしたら自覚がないだけで私もしているかもしれない、と。


「ま、まあ、ほら。そんなスゴい人とお友だちにすらなれっこないんだし??そんなこともあるって!!」


「………泣いていいんだよ??ムリしない。まだ泣き足りてない。あんた」


「……………っ!!」


どうした私!?
ポロッと。目からこぼれた。


なんだこれは。
こんなのお姉ちゃんじゃない。


―――のに。
胸に顔を埋めて泣きじゃくった。


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