ハッピーネガティブシンキング

ガチャガチャと玄関の鍵を開ける音が響く。
時計に視線を移すと、いつの間にか21時を回っている。

「ただいまー……」

真っ暗な寝室の入口へ足を踏み入れる郷ちゃん。

「……ご飯、出来てません。ごめんなさい」
「いーよー……どした?」

ひとまず起き上がったが、わたしはベッドの上に座り込み、顔を俯かせていた。

「…………時給、下がっちゃった」
「……時給? 時給って下がることあんの?」

その疑問は至極当然であろう。

「……無理かも。どうやって保ったら良い? ふざけてるよね」

遅くまで働いて来てお腹空かしている人に、何をいきなり愚痴っているのか。

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