ハッピーエンドじゃ終われない
私はどうすればいい?
このまま弥生に殺されるのを、いつ殺されるかわからない恐怖に怯えながら待っているしかないの?
そんなの、耐えられない。

たとえ私が殺されたとしても、まだ生きている京華だけは守りたい。
そろそろ覚悟を決めよう。
京華を守るために動こう。

サークルからの帰り道、私はある場所に足を向けた。
ここが、みちるが亡くなった川…

私は大学の最寄駅から3駅先の駅で降り、そこから15分ほど歩いたところにある河原に来ていた。
人通りもなく、静かで草が生い茂っている。
手入れがされておらず、放置されているようだ。

みちるの遺体が見つかったあたりには、いくつかの花束が供えられている。
私はその場所にしゃがみこみ、両手を合わす。

みちる…助けられなくてごめんね。

自分の不甲斐なさに次第に涙が零れる。
誰も見ていないため、つい涙腺が緩み涙が止まらない。
涙はスカートに零れ落ち、ぐっしょりと布を濡らす。

こんなに泣いたの、久しぶりかもしれない。
彩女と睦、みちるのお葬式でさえ流せなかった涙が一気に溢れる。



だめだ、ハンカチ…

ポケットにあるハンカチを取り出そうと顔をあげたとき、目の前に誰かの足が見えた。
私ははっとする。
黒い革靴を履いた誰かが、私の目の前に立っている。

心臓の鼓動が一気に速度をあげる。
上を向きたいのに、怖くて顔をあげられない。

どうしよう。
私を殺しにきたのかも知れない。
辺りには人通りはない。
助けは呼べなさそうだ。
それなら一気に走るしかない?

私の頭が”死”という文字で埋め尽くされる。

誰か…!
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