赤い糸~切れた糸の続き~
「…羅ー菜?」と言って現れた男は彰

「あー、彰?また、逢ったねぇ~」なんて私は呑気に言ってみる。

「…男と一緒?邪魔しちゃ悪いな」と彰は言って去ろうするから、

「弟よ、ちゃんと紹介するわ。座って」と私は彰を相席させた。

「彰、改めて紹介するわ。弟の聖よ。この春から、大学生になるの。だから今日は卒業旅行」と私が言うと、

「あ~、あの真面目で可愛かった弟君。こんな大きくなったんだね!」と懐かしむように言う彰。

「あんた、誰?」と睨み付ける聖。

「…俺?ダチだよな?」と私を見てくる彰。

「ほら、前に話したでしょ?元カレの話。その人がこの彰よ」と私は言った。

「…姉ちゃんの男…?」と更に睨み付ける聖。

「ほら、そんな怖い顔しないの!」と私は言った。

彰は特に気にする様子はなく、平然としている。

「そういえば、職場近所なんでしょ?何してるの?」と私が言えば、

「自宅ワーカーかな?って俺、作家になったんだよ」と彰は言う。

「って、ほんとに?!」私はあまりにも驚きすぎで声が思わず裏返った。

「良かったらこれ、あげるよ。俺の最新刊。一応、サイン入れとくね」と彰は言いながら一冊の本を出すと、サインをし、私にプレゼントしてくれた。

本なんてほとんど読んだことない私。

けど、彰の本だけは読んでみたいと思った。

「ねえ、彰こないだの旅館泊まろうと思うんだけど…周辺で良いとこない?」ま私が聞くと、

「…とりあえずチェックインして仲居さんに聞いたら良いよ!後で俺もすぐ行くけど」そう言い残して、彰は去っていった。

それを見送り、私たちも店を後にする。

会計はまたもや、終わっていた。どうやら彰が払ってくれた様だった。

私たちはアレクにまたがり、再びエンジンをかける。

旅館に向かって走り出した。

春の暖かい風を受けながら走るツーリングは最高に気持ちがいい。

しばらく走って、無事、旅館に着いて、チェックイン手続きをした。

仲居さんと少しお話をした。

どうやら聖のサプライズを計画してくれるらしい。

彰がもう少しで来るはずだからとロビーで待つことにした。

数分後ー

彰はほんとに現れた。

彰は普通に手続きし、私たちのところに来た。

とりあえず、荷物を置いて再度会うことにした私たちは、それぞれ部屋に向かった。

荷物を置いて、部屋を出た。

旅館の中にある和モダンなカフェ。

私たちはそこで盛り上がる。

本の内容について聞いてみた。

そしたら、私をモデルにした恋愛小説なんだって!

なんかちょっと恥ずかしいけど。

まだ聖は彰のこと裏睨んでるけど。

しばらくしたら馴染み始めたのか、睨まず仲良く話始めた。
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